久々に読んだ森博嗣先生のWWシリーズ。
今回は物静かなお話ではなく、久々にアクティブな物語で読んでいて楽しかったです。
そんな森博嗣先生の『君たちは絶滅危惧種なのか?』について、感想を綴らせていただきます。
※ネタバレ要素がありますので、読まれる際はくれぐれもご注意ください。
あらすじ
国定自然公園の湖で釣りをしていた男性が、ある日大けがを負います。
また同公園内にある動物園では、一か月前にもスタッフ一人が殺害されおり、さらに研究用の動物とその飼育係が行方不明という事件も発生。
情報局からの依頼を受け、グアトたちはその公園を訪れるのですが、、、。
初めはドイツの情報局や警察、そして公園の研究施設などの話を聞いて情報収集をしていくのですが、シャチが湖上レストランで暴れるし、宮殿と動物園にミサイルが飛んできて爆破されるし、避難した遊園地では恐竜が現れるし。
とにかく忙しい展開が続きます。
また研究施設では動物のウォーカロンを作っていたようですが、その研究員がそろって辞めているなど、不可解なことが起こっていたよう。
一体何のために動物のウォーカロンを作っていたのか?目的は?資金援助は?
グアト達が調べを進めていく内に、政治的な背景や巨大企業の関与など、思いもよらない事実が浮き彫りになります。
そして明らかにされた実態とはー?
リアルとヴァーチャル
このシリーズのテーマともいえるリアルとヴァーチャル。
今回はあまり関わらないかなと思っていたのですが、やはりそうはいかないですね(笑)。
肉体がなくなっても、現在の記憶と頭脳の計算能力をデジタルで移植し、電子信号でやり取りされる世界。
それでも生きているといえるのか?
グアトはまだ確信が持てないようですが。。。
今回の話も今までと例外ではなく、リアルとヴァーチャルが密接に関わりあっています。
エネルギーの供給さえあれば、永遠に生きていられるこの世界。
確かに、研究者にとっては理想的な環境かもしれません。
ですが、それは強制ではなく本人が自由に選択した結果でなければ意味がないですよね。。
それにしても政治的なものから差別など、ウォーカロンにも様々なしがらみが影響を与えていることに、今更ながらリアルさを感じました。
本当に近未来はこうなっているであろう、と思わせる著者の想像力にはいつもながら驚かされます。
最終的には、みんな研究施設に戻れたようでほっとしましたが、 動物も一緒とはちょっと驚き(笑)。
ただヴァーチャルに戻るというところが、やはりこのお話らしいなと感じました。
また、いつもならロジがグアトを守るために背後に庇うのが当たり前なのですが、今回ヴァーチャル世界では、グアトがロジを庇うように斜め前に出ていたのにキュンとしました(笑)。
久々のアクションシーン
今作では、シャチに襲われたり、爆撃されたり、強盗にあったりと、何とも色々なアクシデントに見舞われるグアト達。
そんな中、やはり頼りになるのはロジを始めとした日本の情報局員たち。
ますます人間らしくなったセリンや、いつも姿が変わるけど最高の戦闘能力を誇るペネラピなど、いるだけで安心感が半端ないです。
ラストの潜入のシーンは、久々にそろった日本の情報局3人の戦闘やアクションが拝めて嬉しかった!
潜入シーンから始まる、敵の排除、チームの連携やアクシデントの対処など、本当に読んでいて引き込まれました。
最近は割と静かでおとなし目のお話が続いたので、武器を華麗に扱うロジ達が格好良く、やっぱり最強のチームだと認識できましたし、何よりも懐かしかったですね。
それに懐かしいといえは、あのトランスファも。
戦闘シーンでの言葉の選び方や、返答のタイミングにグアトが感じた懐かしさが何よりも貴重で感慨深かったですね。。
エピローグでのシーンは、久しぶりの再会(?)が本当に嬉しくて、何だか泣きたくなりました。
もうしばらくお目見えしていないので、ここでの登場は本当に予想外。
難しいかもしれませんが、また登場させてほしいな。。
まとめ
今回はいつものグアトとロジ以外にも、セリンやペネラピ、トランスファなど懐かしい顔ぶれが勢ぞろいして、シリーズファンにはたまらないと思います。
それにキャサリンも重要な情報源として登場しますし、過去のwwシリーズのキャラクターも名前だけ出てきたり。
また今回登場した動物のウォーカロン。
人間もあるなら当然動物があってもおかしくないよね?なのですが、やはり意外でした。
次回もまた意外なお話や懐かしいキャラクターに出会えることを期待して待ちたいです。
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