美由紀と敦子が活躍するこのシリーズも3作目。
私個人の感想としてはシリーズ中の中でこの作品が一番面白かったです。
前作の「鬼」と「河童」も面白かったのですが、ミステリーという観点から見ると「天狗」は最後までからくりがわからなかったので。。。
もちろん私の頭が足りないのでしょうが、ストーリーから見ても読んでいて楽しかったのはこちらでした。
薔薇十字探偵社での出会い
美由紀がひょんなことから薔薇十字探偵社を訪ねたところ、篠村美弥子と出会ったことがきっかけとなり物語が始まります。
この美弥子というご令嬢、私はすっかり忘れていたのですが「鳴釜」の登場人物なんですね。
「鳴釜」では榎木津の大活躍?にスカッとしたのですが、登場人物の名前までは覚えておらず。。
そこで先ほどちらっと読み返したのですが、この美弥子嬢、あの榎木津が呆れるくらいの潔いお嬢様でした!
こちらのシリーズもとても面白いので、また読み直したいですね。
この美弥子さんの友人が高尾山で失踪をしたことを機に、どんどん話が進みます。
他にも高尾山で失踪した人がいて、自殺や行方不明になっているなどの情報が敦子の調査でわかります。
事件の背景には・・・
合計4人の女性の行方不明が明らかになるのですが、死体で発見されたのは二人。
どうやら二人とも自殺のようです。おまけに恋人同士らしい。
またそのうちの一人の衣服は、全く面識のないはずの美弥子の友人が着ていたものと一致します。
もう一人、神社巡りが趣味の女性も行方不明なのですが、皆同じ日か前日に高尾山に来ていたことが判明します。
これは果たして偶然なのか。ここから謎解きに向かいます。
今回、美弥子の信条というかポリシーが頻繁に出てきます。
いわゆる男尊女卑やLGBTなどの差別について、美弥子の怒りが止まりません。
この差別がストーリーの根底にあるので仕方ないですが、京極堂の妖怪話の代わりのように結構な量ありますね(笑)
ただ、京極堂の話はうんちくなのでそのまま読み流してしまうのですが(おい)、美弥子のセリフは正論なのでじっくり味わって読んでしまいました。
現代にも通用しますよね。
失踪して自殺した女性の祖父は、この差別が凝り固まったような人物です。
まぁこの爺さんのセリフが胸糞悪すぎて(笑)
こういう偏見と差別と聞く耳を持たない輩って、本当に始末が悪い。
何を言っても暖簾に腕押しなので余計に腹立たしい。
なので、このシリーズではもはやおなじみとなった美由紀の叫びが唯一の救いとなります。
事件の解決はこちらも毎度おなじみの敦子がするのですが、なるほどそうきたか、というからくりで私的には大満足です。
あくまでも私個人の感想ですので、他の方にとっては容易には想像できていたかもしれませんが。。
美弥子の友人と神社巡りが趣味の女性の失踪、恋人同士の自殺、そして衣服の謎まで全てが見事に解決します。
早く本編が読みたい・・・
番外編という建て付けになるこのシリーズは、短編なので読みやすく、また美由紀や敦子が本編では中々お目にかかれない活躍をする作品です。
こちらも続きが出たら是非読みたいのですが、正直そろそろ本編も読みたいですね。
もう随分待たされてますから。。
とはいえ、こちらのシリーズもおススメです。未読の方は是非お手にとってみてください。