WWシリーズ第3弾
前シリーズから主要人物の名前が変わったのですが、やっと違和感なく読めるようになりました。
WWシリーズを3作読みましたが、何となく抽象的な印象が拭えない感じがします。
今回のお話は、キャサリン・クーパという生殖の研究者が、彼女の元を訪れていた検事局の8人とともに居なくなってしまった事件ついて、グアトがドイツの情報局から捜査を依頼されたところから始まります。
合計9人の人間が忽然と姿を消したという内容から、密室ものかしら?どういうトリック?と期待し読み進めました。
子供を産んでいたらしい
本のタイトルのまんまなのですが、捜査に参加していると、キャサリン博士に子供がいたことがわかります。
どうやら自身で産んだ可能性が高いとのこと。
このシリーズでは、人口細胞を人体に取り入れたことによって、人間は病気などではほぼ死ななくなったのですが、
その代わりに生殖機能を失うことになってしまったというのが根底にあります。
ですので、キャサリン博士が子供を産んだことにもビックリなのですが、さらに父親がいないらしいことにも益々ビックリです。
物語は、始めの人間が消えた事と、子供を産んだ事を軸に進んでいきます。
リアルとヴァーチャル
人間消失については、真賀田博士の過去の事件がクローズアップされます。
これは「すべてがFになる」の事件ですね。
しかもキャサリン博士の子供の名前がミチル。
また、後半で真賀田博士も登場しますし、エピローグではペイシェンスがミチルとロイディについて印象的なセリフをつぶやきます。
この辺りは、森博嗣先生の作品をある程度読んでいないとわからない部分なのですが、これらの事がどう繋がりがあるのかはまだわかりません。
きっと森先生のことですから、想像もできないような展開になるのを期待していますが。。。
とにかくこの話だけではなく、シリーズを通してこのリアルとヴァーチャル、人間界と電子界の境界が曖昧になっている気がします。
特に今回のお話ではそれが顕著になったように思いました。
人間消失とどうやって子供を産んだのか。
読んでみると、なるほどなと腑に落ちました。
ロジとグアト
Wシリーズの時は、女ターミネーターにソックリな印象だったロジですが、
このシリーズでは段々と人間らしく、そして可愛くなっています。
口を尖らせたりするちょっと拗ねたような仕草を、グアトがよく観察しているなぁと(笑)
お互いがお互いを尊重し、大切に思っているのが伝わってきますね。
この二人の行く末とともに、物語の行く末も見守っていきたいです。